います。
圧倒的な強さを誇れるチームがなく、非常に混戦になって
いますね。
このことについて、詳しく書かれた記事を紹介します。
こちら↓
【F1】5戦で5人のウィナー。空前の大混戦の要因を考察する
webスポルティーバ 5月24日(木)16時28分配信
ウイリアムズのパストール・マルドナドが第5戦スペインGPで優勝し、2012年シーズンのF1は開幕からの5戦で5人の勝者が生まれるという前代未聞の事態となった。しかも、結果がマシン性能に大きく左右されるモータースポーツにあって、勝利チームまですべて異なっているのだ。
ちなみに、スペインGPを制したマルドナドは、2010年のGP2王者であり、今季はF1で2シーズン目ながら開幕からたびたび上位勢に割って入るなど好走を見せていた。
開幕戦オーストラリアでフェラーリを抑えて5位を快走し、最終ラップに激しいクラッシュを演じたことも記憶に新しい。着実に評価を上げているドライバーだが、いきなり優勝を果たすとは誰も予想していなかった。
ウイリアムズは名門チームとはいえ2004年以来勝利から遠ざかっており、昨年もランキング9位に沈むなど低迷が続いていた。今季はマシンの仕上がりが良く、初テストのヘレスからチームの雰囲気は良かった。
マシン設計が当たり、エンジンをルノーに換えてパワーアップを果たしたことが性能向上につながったようだが、それでもやはり、いきなり3強(レッドブル、マクラーレン、メルセデス)を突き崩して優勝するとは誰も思っていなかった。
しかし、それはマレーシアGPのザウバーにも言えたことで、実際、セルジオ・ペレスは2位だったが、あの時のザウバーには優勝するだけの速さがあったことは誰もが認める事実だ。
では、なぜこのような混戦状態になっているのだろうか?
まず、今季は各チームのマシン性能差が極めて拮抗していることが最大の要因と言える。
昨年までのブロウンディフューザー(エンジンの排気をダウンフォース発生に活用する装置)が禁止となり、ライバル、特に開発予算の少ないチームに大きな差をつけるアイテムが不在というのがその理由だ。
予選で12、3台が1秒以内にひしめくことは当たり前で、第3戦中国GPでは0.3秒内に15台が入るほどの大混戦だった。
マクラーレン、レッドブル、メルセデスAMGの3強が絶対的な優位を保っているわけではなく、その下には中団チームが控えており、わずかなミスでも犯せば形勢は一気に逆転してしまうのだ。逆に、わずか0.2〜0.3秒でもゲインする何かを発見できれば、中団チームでも大きくポジションを上げることが可能になる。
たとえばスペインGPのフェラーリは、「実際のポジションは6〜8位といったところだろう」(フェルナンド・アロンソ)という状態ながら、完璧な予選アタックを決めたことで予選3位という結果を手にした。そして決勝では好スタートでトップに立ったことでマルドナドと優勝争いを演じることとなった。アロンソは「正直言って、誰にも(上位進出の)理由を正確に理解することは不可能だし、僕らにも無理だ。まだ未知の要素だらけだよ」と吐露した。
こうした状況を生んでいるもうひとつの要因が、タイヤだ。
ミハエル・シューマッハが「タイヤがレースをダメにしている。生卵のようで走っていて面白くない」と批判したことで、バルセロナのパドックはタイヤに関する話題で持ちきりとなった。
タイヤのグリップ特性が特殊で運転しづらく、それゆえタイヤ性能の“予測不可能さ”が、レースを本来の競争とは違う、クジ引きのようなものにしているというのだ。
確かに、気温と路面コンディションによってタイヤの性能が変化することもあり、予選の途中から突然不可解なグリップ低下が発生したというコメントが聞かれることもある。同じように決勝でも、突然タイヤのライフ(寿命)が終わって劣化し、グリップしなくなってズルズルと後退するマシンも見られる。
マシン性能では最速と言われるマクラーレンでさえ、スペインGPではルイス・ハミルトンが予選トップタイムを記録する一方で、ジェンソン・バトンが原因不明のアンダーステアに苦しんでQ2で敗退することになった。ハッキリとした原因は掴めていないというが、2台のセットアップはほぼ同じであり、原因は「おそらくタイヤだろう」というのがチームの見方だ。
つまり、予選で即座にタイヤを温めて性能をフルに発揮させると同時に、決勝ではタイヤをいたわり、できるだけ長くハイペースを保つことができるセットアップを見つけ出すことが重要になる。
予選のパフォーマンスが十分でなければ、後方グリッドからのスタートとなり、どれだけペースが良くても集団の中では性能と速さを十分に発揮できない。前走車の背後を走ると乱れた気流を受けることとなり、ダウンフォースが十分に獲得できずにマシンが滑ってタイヤを痛めることにもなるからだ。
しかし、予選パフォーマンスを追求しすぎるとタイヤに厳しいマシンセットアップとなり、決勝ではペース低下の進行が早まってしまう。
それ以外にも、マシントラブルを未然に防ぐこと、決勝のスタートできちんと上位に浮上しておくことや、ピット戦略、コース上でのバトル、そして運など、さまざまな要素がひとつでも欠けると、大きくポジションを落としてしまう結果になる。
従来なら、わずかなロスで済んだものが、大接戦の今季では0.3秒で5つも6つものポジションダウンにつながってしまうのだ。
「この5戦で5人の勝者が生まれているし、今年は、『何が起きても不思議じゃない』と言っても過言じゃないでしょうね。僕らには良いクルマがあるし、良い成績を収めるためのチャンスも十分あると思います。もちろん結果は色んな要素によって左右されますけど、成功を手に入れるために必要なのは、レースの週末全体を通して、たとえどんな小さなことでも、すべてを完璧にまとめ上げることなんです。とにかく今はそれを目標にしています」
小林可夢偉がそう語るように、今季はレースウィークのすべての要素を完璧に仕上げることが極めて重要になっている。その成否によって、上位チームの大崩れもあれば、下位の大躍進もある。
大混戦はまだまだ続くだろう。年間11名もの勝者が生まれた大混戦の1982年に、わずか1勝のケケ・ロズベルグがチャンピオンに輝いたような予想外の展開も十分にあり得る。
各チームにとって極めて過酷なチャンピオンシップになるが、我々見る側にとって2012年は最高のシーズンになりそうだ。
米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
タグ:混戦